寿限無寿限無・・・・

松山城内の鎧。ちなみにストロボが使えない室内では明るいレンズのデジカメがいい。

 長崎市の浜口町に「ふくめ」という変わったお蕎麦屋さんがあります。民芸品や古道具が雑然と飾られた店内は何時行っても大概満員ごった返しで、パイプ椅子での相席当たり前ですが、食べる価値はあります。

 ここは全国の美味しい日本酒も揃えていて、落語に出てくるいなせなご隠居みたいに蕎麦をつまみに冷酒をいただくなんてぇことが可能ですが、それでいて店の雰囲気は前述のようにジャンクな感じで、その違和感が結構楽しいです。

 蕎麦はもちろん手打ちで、いろいろなアイデアメニューもありますが、ここはやはり盛り蕎麦で杯を傾けたいものです。

 最近は刺身を食べるとき、醤油にワサビをとかず、刺身自体にワサビを添えて召し上がる方が増えて感心だなぁと思っていますが、さすがに蕎麦を食べるときはつゆにワサビを放り込んでかき混ぜた後食べ始める人がほとんどのようです。

 これも本当は刺身同様食べる都度箸先にワサビを載せるのが正しいそうです。つゆへの浸しすぎも禁物らしいですが、落語に江戸っ子のご隠居が亡くなる直前「一度でいいからつゆをたっぷりつけて蕎麦を食べたかった。」と本音を漏らす噺もあるぐらいですから、お好みでいいのかもしれません。

 ふくめではよく新潟の「峰乃白梅」をいただきました。「越乃寒梅」「雪中梅」と併せて越後の三梅と呼ばれています。「越乃寒梅」に比べてお手軽価格で購入でき、同じくライトな味わいです。蕎麦や山菜など山の物にはよく合うと思います。

 「越乃寒梅」がなぜかくももてはやされているかというと、日本全国が三倍醸造酒=屑酒を造っていた昭和30年代から頑なに本物志向のお酒造りを追求し、飲み口がサラリとした吟醸タイプの製品を作り続けていたためだそうです。地方の心ある蔵が同様な酒造りを行い始めた現在、味的にはずば抜けた存在では決してありませんが、他に先駆けコスト度外視で本当の日本酒作りを行ってきたことは評価すべきでしょう。

 ちなみに値がつり上がっているのは蔵元の責任ではなく、商品を買いあさり流通を押さえている大阪のブローカーのせいだとされていますが、真偽のほどはわかりません。

 先日玄海酒造の山内社長から、ゴールド壱岐の四合瓶が東京のホテル・オークラのラウンジでは1本18,000円となっている話をうかがいました。比較しようにも例えばレミー・マルタンがいくらなのかわかりませんが、社長は、「一本1,000円ちょっとの商品を、いくら東京で希少価値があるからといって18,000円で商売されるのは不本意だ。」とおっしゃっていました。同様の気持ちを抱いている蔵元のご主人が日本全国にたくさんいるのではないでしょうか。一体どこの誰が儲けているのでしょう?   

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