表示の見方

伝説の酒米,亀の尾

 

 1級酒や2級酒といった酒税に伴う等級表示が廃止され、大吟醸や吟醸、純米や本醸造という表示で売られているお酒が目に付く今日この頃。でも「吟醸って何?」とご質問の女性会員続出につき、今回の会報はお酒の酒類についてウンチクを傾けることにしました。

 吟醸や大吟醸は酒造りに使うお米の精米歩合により概ね使い分けられています。精米歩合60%以下を吟醸、50%以上削ると大吟醸と表示されていることが一般的です。最近の一部の大吟醸は酒造好適米を35%まで削る贅沢な造りとなっています。

 純米は文字どおりお米と水だけで作ったお酒。本醸造は米と水プラス少量の醸造用アルコールが添加されています。醸造用アルコール添加というと悪いイメージがありますが、少量の添加は味を調える上で有効な方法とされており、江戸時代から若干の焼酎を清酒に加え味を調整する技法が確立していたそうです。

 但し、同じ醸造用アルコール添加でもいわゆる三倍醸造酒(=三醸酒)を購入したり飲んだりしてはいけません。これは名前でも推測できるように本来の清酒部分に3倍の醸造用アルコールを添加し、味の薄さをごまかすために糖類を大量に加えた粗悪品です。

 大メーカーがCMしているお酒のほとんどがこれで、宴席で出される熱燗が臭く翌日ひどい二日酔いに襲われるのは不純物たっぷりの三醸酒を飲まされているからです。ちなみに私は宴席でのエセ日本酒はほとんど飲みません。

 お酒屋さんでは「純米大吟醸」「吟醸(本醸造)」「純米」とかの表示で売られていますが、「純米」としか表示されていなくても精米歩合60%以下の場合がありますので、瓶の裏側の表示にも気を付けましょう。また良質なお酒を提供している蔵の自慢の一品は「大吟醸(本醸造)」であることが多いのも知っといて損はないでしょう。

 ちなみに以前の等級表示に変えて上撰とか佳撰とかの表示をしているお酒がありますが、これはあてになりません。最初に述べたように等級表示は酒税の関係だけで、造りの良さには全く関係がないものでした。誰もが知っている越の寒梅は2級酒表示だったのです。

 この季節「はがつお」や「いさき」の刺身をつまみながらおいしい冷酒を飲みたいものです。でも、健康診断が終わってからね。

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