久須美酒造が伝説の酒米亀の尾を復活させて
栽培している水田にたつ看板
さて、いよいよ味覚のお話です。日本酒の甘口とか辛口とはいったいどんな味なのでしょう。
宴席の熱燗を飲みながら「これは辛口」とか「これは甘口」とか講釈をたれるおじ様があなたの周りにもいらっしゃると思いますが、この場合醸造用アルコールが舌を刺す感じで辛口と表現したり、添加してある醸造用糖類の甘さで甘口とおっしゃっている場合がほとんどです。
目に見える尺度としてはラベルに日本酒度が表示してある場合があります。0を境にプラスが辛口マイナスが甘口となりますが、飲んでみると例えばプラス6度でも甘みを感じるお酒もありますし、マイナス2度でもさっぱりしたお酒もあり印象は様々です。
味覚的にはきりっとした白ワインのようなお酒は辛く感じ、口の中でふくらみ華やぐような印象が強いお酒は甘く感じるようで、これは酵母や水の影響によることが多いと思われます。
個人的にはワインにおけるライトボディと称されるものに近いのが辛口、フルボディという表現でどっしりした印象をもつものが甘口といった感覚で、実際の日本酒度には関係していないような気がします。ちなみに私は前者を「山系」後者を「海系」と呼んで、肴に合わせて堪能することにしています。
俗に「水のよう」と言われる新潟のお酒はライトボディの代表格でしょうが、最近そのライトさを強調するあまり活性炭濾過した本当に「水っぽいもの」まで出てきているのは残念です。
対して、フルボディの代表は石川や富山のお酒で、ブリに代表される富山湾の海の幸との相性はベリーグーです。
私はアジ・サバ・イワシといった青背の魚が好きなので、どちらかというと海系のお酒が好きですが、例えば焼き鳥をつまみにというときは四国や広島のしっかりしているけどスッキリした山系のお酒を合わせます。結局食べ物との相性が重要と言うことで、ワインとも共通しますね。
偉そうに書いてますが、私はうまいとまずいしか区別がつきません。うまいお酒とうまい肴と楽しい仲間だとついつい飲み過ぎて円盤にされわれます。困ったものです。
次回は少し醸造に関するお話をしましょう。各地のお酒の紹介は次回以降のお楽しみ。