「美味しんぼ」54巻「日本酒の実力」について

特別出演。管理人の愛犬,ミュウ。
雑種だけど愛嬌があって可愛いいと思いませんか?
(典型的な日の丸構図で恥ずかしい。キャ!)

小学館より発行されている週刊ビッグコミックスピリッツに連載中の「美味しんぼ」といえば,日本中,あるいは世界各地の美味しい料理や酒を追求した人気コミックですが,この「美味しんぼ」にもいくつかの日本酒が登場します。原作の雁屋哲氏はかなりの日本酒通のようで,我々が飲んだことのない銘柄も作中に数多く登場します。

 その「美味しんぼ」の中でも日本酒について徹底的に取り上げてあるのが,54巻に収められている「日本酒の実力」という話で,珍しく6週分も費やして日本酒についての考察が語られます。

 簡単にそのストーリーを述べますと,

@ 主人公の山岡がひいきにしている「江戸一番」というお酒の酒造元の出した手形が悪徳業者に渡ってしまう。
A その悪徳業者が日本酒業界に参入したいがために,「江戸一番」が大手酒造メーカーの桶買い用の酒に変えられてしまう恐れが出てきた。
B そこで,山岡は知人の大手都市銀行の融資を取り付けようとするが,そこの融資担当役員が日本酒業界には将来性がないと言って,融資に難色を示す。
C 山岡は役員室に日本酒を持ち込んで,日本酒のおいしさを訴えるが,役員は日本酒にも美味しいものがあることを知って驚くものの,融資についてはなかなか承諾しない。しかも,そこに海原雄山が現れ,司朗のやり方ではだめだという。
D 山岡は必死に作戦を考え,日本酒を地道に扱っている地酒屋「よね源」や「日本酒の会」などの活動を訴え,日本酒の文化が庶民の中に広がっていることを主張し,最後には融資担当役員を納得させることに成功する・・・

 という感じです。

 つまりは,日本酒は日本を代表する文化であり,ワインに負けずとも劣らないすばらしい食中酒として,これからは料理に合わせていい酒を選ぶ時代だ・・・という主旨のストーリーとなっています。もちろん実在の地酒が数多く紹介されており,その中に載っている酒を選んで飲んでみるのもおもしろい選択かも知れません。(ただし値段が高いかもしれませんが。)

 しかし,この「日本酒の実力」の中で,海原雄山は「日本酒に醸造用アルコールが混じっているのは,誠に残念である。どんなにうまい吟醸酒でも純米でないものはだめだ」という主旨の発言をします。この意見については山岡も同意見のようです。すなわち原作の雁屋哲氏は,純米以外の日本酒は日本酒として認めないというお考えのようです。

 私の知人にも純米しか飲まないという人もいますし,どこかのホームページにも「醸造用アルコールを混ぜるな!」という厳しい書き方をされているところもあるようですが,おそらくこのあたりには賛否両論あるのではないでしょうか?

 例えば,私の好きな立山という富山のお酒は,本醸造の方が有名で,日本酒を紹介する本にも純米の方より,本醸造の銀嶺立山の方が紹介されていることが多いです。また,出羽桜桜花吟醸という山形の美味しいお酒がありますが,これも純米ではありません。

 上槽前に少量の醸造用アルコールを混ぜることにより,味わいがすっきりして透明感のある酒が生まれるという効用を唱える酒造元もあるようですし,このような手法は,日本酒文化の一つの側面として尊重していいのではないかと思いますが,皆さんはいかがお考えでしょうか?。

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